2025.07.05

次に来るかも!? 実は隠れた名店揃い 大注目の鹿児島ラーメン

日に日に肌寒くなるこの季節は、熱々のラーメンが無性に食べたくなりますよね。
日本を代表する国民食として、海外からも注目されているラーメン。全国にはさまざまなご当地ラーメンがありますが、みなさんは「鹿児島ラーメン」を知っていますか?
県下の名店がこぞって腕を競い合う「鹿児島ラーメン王決定戦」が開催されるほど、隠れラーメン激戦区の鹿児島。博多ラーメンとも熊本ラーメンとも異なる、独自の進化を遂げた鹿児島ラーメンは、九州ラーメンの中でも唯一無二の存在です。
個性豊かな味とスタイルで熱狂的なラーメンファンをも魅了する、鹿児島ラーメンの世界に迫ります。

鹿児島ラーメン

1. 種類豊富な九州ラーメン

九州のご当地ラーメンといえば、白濁した濃厚スープの豚骨ラーメンを思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。しかし、ひとくちに豚骨ラーメンと言っても、地域によってさまざまな種類があります。まずは九州各地のラーメンにどのような違いがあるのか紐解いてみましょう。

久留米ラーメン

福岡=博多ラーメンの印象が強いですが、実は九州ラーメンの元祖は久留米ラーメンです。
九州最初のラーメンは、「南京千両」が1937年(昭和12年)に屋台で出した豚骨ラーメンと言われています。この頃の豚骨スープはまだ白濁していませんでした。
豚骨の代名詞である白濁したスープは、偶然のミスから生まれた産物です。
それまでのスープは炊き上がったらすぐ弱火に切り替え、澄んだ状態で提供するのが定番でしたが、「三九」の店主はうっかり火加減を間違えて外出してしまったそう。用を済ませて帰ると、強火で煮込んだスープは真っ白に濁っていました。
試しにこれを飲んだところ美味しかったため、それ以来スープとして使われるように。「三九」が作り出した豚骨ラーメンの味は、同じ県内の博多をはじめ、熊本や宮崎、佐賀、大分にも影響を与え、鹿児島を除く九州全域で主流となっていきました。麺はやや硬めのストレートな細麺、スープはあっさり系から濃厚系まで、店によって幅広いのが特徴です。熟成したスープに新しいスープを継ぎ足して旨みを出す「呼び戻し」も、久留米ラーメンならではの伝統製法です。

博多ラーメン

色とりどりの具材が楽しい博多ラーメン

久留米ラーメンの系譜に連なる博多ラーメンは、豚骨ラーメンの代表格。強火で長時間炊き上げた濃厚な白濁豚骨スープとコシのある極細のストレート麺は、言わずと知れたトレードマークです。当初は澄んだスープと白濁スープの2系統があったのですが、次第に白濁スープの方がスタンダードになっていったのだとか。
極細麺はスープを吸収しやすくのびやすいため、一杯の量を少なめに提供する店が多いそうです。この量で物足りない人は、替え玉でおかわりを頼みます。
「やわ」「かた」「バリカタ」「はりがね」という具合に、麺の硬さが選べる点も大きなポイントです。博多っ子には麺の茹で時間が短く、硬めの「バリカタ」が人気。お好みで紅生姜や辛子高菜、万能ネギ、きくらげなどをトッピングするのも定番スタイルです。

長浜ラーメン

福岡市の長浜ラーメンは、極細麺の替え玉システムを博多に先駆けて採り入れた“替え玉のパイオニア”。長浜の替え玉システムは、地元の魚河岸関係者が忙しい競りの合間にも手早く食べられるよう考案されたもので、博多ラーメンとは別物です。
博多ラーメン以上に麺が細く、スープもより濃厚と評される長浜ラーメンですが、近年は博多との違いがあまりなくなってきているようです。

熊本ラーメン

焦がしニンニクが香ばしい熊本ラーメン

久留米ラーメンの「三九」が熊本県玉名市に出店した際、その美味しさに感銘を受けた人々が熊本市内にそれぞれの店を開業しました。これが熊本ラーメンの発祥とされています。なかでも、いち早く東京に進出した「桂花」が店の看板に“熊本ラーメン”と掲げたことで、その知名度は全国区となりました。
熊本ラーメンは白濁した豚骨スープを使うので、見た目は博多ラーメンとあまり変わりません。大きく異なるのは、博多が豚骨100%なのに対し、熊本は豚骨に鶏ガラを加える店が多いこと。博多のようにスープを継ぎ足す習慣がなく、その日のうちに使い切るため、豚骨特有の臭いも少なめです。このため熊本ラーメンのスープは、濃厚ながらもまろやかな甘みがあると言われています。
にんにくチップやマー油(にんにくを揚げた油)などを入れて、香ばしく風味づけするのも熊本の特色です。麺は博多に比べて太めで、しっかりとした歯ごたえがあります。
博多や長浜のような替え玉システムがないので、熊本ラーメンは一杯のボリュームがやや多め。さらにたくさん食べたい場合は大盛りを注文しましょう。

ひとくちメモ

豚骨ラーメンは造語!?

「豚骨ラーメン」という名称ができたのは、意外と最近の話です。どこの誰が名づけたのかは不明ですが、1980年代(昭和50年代)中頃にはすでに「白濁したラーメン=豚骨ラーメン」と呼ばれるようになっていました。
当時は「九州じゃんがらラーメン」「なんでんかんでん」といった有名店が東京に進出。首都圏では豚骨ラーメンのことを「九州ラーメン」や「博多ラーメン」と呼んでいました。その後も九州発のラーメンは快進撃を続け、いつしか「豚骨ラーメン」の呼び名は定着していきました。しかし、ここで新たな疑問が芽生えます。
それまで九州の人たちは「豚骨ラーメン」を何と呼んでいたのでしょうか?
答えはシンプルに「ラーメン」です。
今では九州の人も「豚骨ラーメン」という言葉を日常的に使いますが、昔の九州ではラーメンといえば白濁したスープが当たり前だったからです。

2.独自のラーメン文化が息づく鹿児島

九州で唯一、久留米発の豚骨ラーメンと異なるルーツを持つのが鹿児島ラーメンです。麺もスープも他県とは一線を画す、独自のラーメン文化を育んできました。
鹿児島ラーメンの発祥は1947年(昭和22年)。戦前に横浜で看護師をしていた「のぼる屋」創業者の道岡ツナさんが、患者だった中国の料理人から看病のお礼にスープの作り方を教わったのが始まりとされています。そのスープは、豚骨ベースに鶏ガラや魚介、野菜を加えてじっくり煮込んだ優しい味わいだったそう。麺はツナさんの好みで、かんすいの入っていない白っぽい中太麺が使われていました。
そしてもう一店、鹿児島ラーメンを語るうえで欠かせないのが、1950年(昭和25年)創業の「こむらさき」です。こちらのラーメンは、ビーフンを参考にした細麺に野菜たっぷりのマイルドな豚骨スープを合わせたもの。「こむらさき」の麺も「のぼる屋」同様、かんすいを使用していませんが、食感には大きな違いがあります。
「のぼる屋」はもっちり柔らかくコシのある麺、「こむらさき」はそうめんのような優しい喉ごしで、それぞれの個性が全面に出ています。
1946年(昭和21年)創業の「ざぼん」も、鹿児島県民なら誰もが知っている老舗のレジェンド。名物の「ざぼんラーメン」は地元のソウルフードとして現在も愛され続けています。どんぶりの底に箸を入れ、旨みたっぷりの特製ダレとあっさり味の豚骨スープ、シャキシャキのもやしとキャベツ、麺をよくかき混ぜて食べるのがざぼん流。ボリューム満点の個性あふれる一杯は、鹿児島ラーメンの懐の深さを体現しています。

鹿児島湾(錦江湾)に浮かぶ桜島の絶景とマイルドな豚骨ベースの鹿児島ラーメン
(左)鹿児島湾(錦江湾)に浮かぶ桜島の絶景 (右)マイルドな豚骨ベースの鹿児島ラーメン

3.唯一無二の自由なスタイル

一般的なご当地ラーメンは、その地域に大きな影響を与えた1〜2軒を元祖として一定のスタイルが広まっていきますが、鹿児島の場合は「のぼる屋」や「こむらさき」のラーメンがスタンダードとはなりませんでした。
その理由は定かではありませんが、一説には自主独立の気風が強く、他のマネを嫌がる鹿児島の県民性が関係しているのではないかという指摘もあります。
鹿児島ラーメンには、福岡や熊本のようにハッキリとした定義がありません。むしろ、それぞれの店がオリジナリティを追求した、自由なスタイルこそが最大の特色です。それでもあえて言うなら、次のような点が共通項として挙げられるかもしれません。

  • ●豚骨メインだが鶏や野菜、干し椎茸、煮干し、昆布なども使うマイルドなコクのあるスープ。比較的脂が少なく、あっさり味で食べやすい。
  • ●かんすいを使わない、白っぽく柔らかめのストレート麺が多い。
  • ●ネギ・もやし・キャベツなどの野菜がたっぷり入っている。食材のバリエーションが豊富で、具だくさんな店が多い。
  • ●突き出し・付け合わせとして大根などの漬け物が出る。
  • ●小さな急須に入ったお茶が出る。

とはいえ、麺やスープに厳密な決まりはないので、味噌ラーメンや醤油ラーメンを提供する店も数多くあります。なかには油そばやつけ麺、パスタ感覚のトマトラーメンが看板メニューという個性派も。
これほどバラエティに富んだ店が揃っているのも、鹿児島ならではの魅力です。さまざまなラーメンの中から、ぜひお気に入りの“推し麺”を見つけてください。

人気の個性派ラーメン店
九州ラーメン早わかり表

ひとくちメモ

地域の特産品を使った「新・ご当地ラーメン」も要チェック!

鹿児島県内の各エリアをさらに細かく見ていくと、新たなご当地ラーメンが続々と生まれていることがわかります。たとえば指宿の「勝武士ラーメン」は、生産量日本一の本枯れ節※1をふんだんに使用した、老若男女に人気のご当地名物。マグロの水揚げ港として知られる串木野エリアには、チャーシューではなく生のヅケマグロをトッピングした「串木野まぐろラーメン」があります。
少し離れた離島の屋久島では、特産品のサバ節・アゴ節・宗田節で出汁を取り、地元の食材から造った醤油を使用した「屋久島ラーメン」が提供されています。また奄美大島では、郷土料理である鶏飯の具材※2を使った「鶏飯ラーメン」が新感覚グルメとして注目されています。
鹿児島を観光に訪れたら、王道の豚骨やニュージェネレーション系はもちろん、地域の特性を活かした新ご当地ラーメンを食べ歩くのも楽しいですね。

※1 かつおぶしの最高級品
※2 ほぐした鶏肉・椎茸・錦糸卵・ネギ・海苔・パパイヤの漬物・ミカンの皮

指宿の勝武士ラーメンと奄美大島の鶏飯ラーメン
(左)指宿の勝武士ラーメン (右)奄美大島の鶏飯ラーメン

鹿児島ラーメンにはご当地キャラがいる

鹿児島には「麺 in カゴンマ」というご当地キャラクターがいます。鹿児島のローカル特撮ドラマ「薩摩剣士隼人」に登場するキャラクターの一人で、鹿児島ラーメンの全てを知り尽くしたラーメン通。自分自身の体も鹿児島ラーメンでできているそうです。鹿児島ラーメンの多様性を心の底から愛し、今日も鹿児島のラーメン文化発展のために全力で活動しています。

4.18万人が熱狂したラーメンの頂上決戦
「鹿児島ラーメン王決定戦」— 感動のフィナーレ

ラーメン激戦区・鹿児島で、2015年から開催されてきた「鹿児島ラーメン王決定戦」。
県民投票により ❝ 最もおいしいラーメン店 ❞ を決めるこの一大イベントでは、予選を勝ち抜いた店舗が決勝大会に出場し、来場者の本投票によって王者が決定します。

会場では、ここでしか味わえない ❝ ラーメン王決定戦限定の一杯 ❞ も多数登場。ラーメン好きの恒例行事として定着し、第5回大会(2019年)は県内外から約18万人もの来場者を記録する人気ぶりを見せました。

そして、2024年–
【第6回 鹿児島ラーメン王決定戦】が4年ぶりに復活し、ついに最終回を迎えました。
2月23日(金)〜 25日(日)の3日間、選りすぐりの18店舗がウォータフロントパーク(ドルフィンポート跡地前)で最後の王座をかけて火花を散らし、
この最終回でも過去最大級となる約18万人が来場し、有終の美を飾りました。
※本イベントは、あらかじめ2024年までの期間限定開催として企画されていました。

詳細はこちら ▶公式サイト(別のサイトへ遷移します)

「鹿児島ラーメン王決定戦」表彰店の味が自宅でも楽しめます!

Mr.RAMEN(ミスター ラーメン)リニュアルして登場!

—歴代の人気店の味を一度に味わえる贅沢セットが、7月より装い新たに再登場です!

王道の重厚感か、革新の切れ味か。
鹿児島ラーメン王決定戦、激戦を制した2つの個性をそれぞれのセットに仕立てました。
「麺の巨匠」、「麺のカリスマ」—その一杯に込められた世界観をご堪能ください。

【 Mr.RAMEN~レジェンド~ 】
歴代の鹿児島ラーメン王決定戦を沸かせた実力派の名店たち。
シリーズ最多受賞の王者から伝統を受け継ぐ職人まで、❝ 鹿児島ラーメンの王道 ❞を体現する3店舗の味をひとつに詰め合わせたセットです。

  • 《麺屋剛》|第3回 準優勝

豚骨なのに驚くほどあっさり。
旨味をしっかり引き出したスープと、もちもち食感の麺が絶妙に絡む一杯。
鹿児島ならではの❝ まろやか系とんこつ ❞を堪能できます。

  • 《TAKETORA(タケトラ)》|第3回・第5回 優勝

王道を極めた、濃厚とんこつ。
地元指宿産の本鰹節をトッピングし、旨みと香りを重ねた❝ 王者の一杯 ❞です。
余韻までしっかり楽しめる、どっしりした味わいが魅力。

  • 《五郎家》|第2回・第4回・第6回 優勝

鹿児島を代表する人気店が手掛けた隠れた名作。
特製みそが麺にとろりと絡む、心まで温まる味わい深さ。
隠れた人気メニューを再現した一杯です。

【 Mr.RAMEN~レボリューション~ 】
固定観念を超え、ラーメンの❝ 進化 ❞を体現した革新の3杯
伝統の枠を超え、独自のアプローチで人気を博した新世代ラーメンがここに集結。
それぞれの❝ 個性 ❞と❝ 革新 ❞を一つひとつ、ぜひご賞味ください。

  • 《そばる|第5回 技能賞受賞

蕎麦屋ならではの技が息づく、風味豊かな和風出汁ベースのラーメン。
華やかなトリュフオイルがふんわり香る、品のある深みが印象的。
和の心と遊び心が調和した、記憶に残る一杯です。

  • 《Sakanoue Unique(サカノウエユニーク)》|第6回 県民投票 第1位

鶏出汁×塩スープの上品さに、ほのかに香る柚子のアクセント。
とんこつ主流の鹿児島で異彩を放つ、やさしくも芯のある一杯。
最後の一口まで飽きずに楽しめます。

  • 《まことラーメン》|第6回 準優勝

初出場にして準優勝。驚きの一杯。
豚骨・鶏ガラ・数種の魚介を重ねたスープはあっさりなのに奥深い。
香り高く、コクと旨みのバランスよく感じられる仕上がりです。

《出典元・参考文献》

新横浜ラーメン博物館

https://www.raumen.co.jp/rapedia/study_japan/

明星

https://www.myojousa.com/ja/blog/regional-ramen/

共同通信

https://agrilab.kyodo.co.jp/foodstory/2022/11/post-98.html

熊本ガイド

https://kumamoto-guide.jp/ramen_navi/4city/

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