2024.04.06

春に食べたい!旬のスイーツ豆知識
人気の〈桜・抹茶・いちご味〉 素朴な疑問にこたえます

花咲き、心躍る春がやって来ました。この季節は色とりどりの華やかなスイーツが店頭に並んでいるのを見るだけで、何となく気分が上がりますよね。今回は春に食べたいスイーツの中でも、とりわけ人気の高い「桜・抹茶・いちご味」に関する豆知識をご紹介。ティータイムのひととき、ご家族やお友達に早速教えたくなるかも!?

西原オンラインストア 春スイーツイメージ画像

1.桜餅の葉っぱは食べていいの?関東と関西の違いも比較

【桜餅はなぜ桜の葉で包むの?】

春スイーツの代表的な存在と言えば「桜餅」。あんこが入った餅を桜の葉の塩漬けでくるんだ和菓子で、春の季語にもなっています。ところで、桜餅はなぜ葉っぱで生地を包むのでしょうか?これにはきちんとした理由があって、桜の香りづけと餅の乾燥を防ぐために行われています。塩漬けにした葉を使うことで、雑菌の繁殖も防ぎながら、ほんのり塩味を効かせることもできるので、一挙両得ならぬ一挙四得の役割も果たしているのです。ちなみに桜餅の葉には、伊豆諸島・房総半島原産のオオシマザクラが使われています。餅を包むのにちょうどよい大きさで、うぶ毛が少なく食べやすいからだそうです。

ヤマザクライメージ画像

【桜の葉は食べる?食べない?】

みなさんは桜餅の葉っぱを食べていますか?それとも剥がしていますか?どちらが正解なのか、意外と知らない方も多いのではないでしょうか。気になる答えは「食べても、食べなくても大丈夫」です。桜餅に使われる葉は食用なので、食べる分には問題ないとされています。ただし塩漬けされているだけに、多くの食塩を含んでいることも。あんこの甘みと葉のしょっぱさがマッチして美味しいため、ついつい食べすぎて塩分を過剰摂取しないように気をつけたいですね。
また、桜の葉は塩漬けにすると「クマリン」という成分がわずかに生じます。クマリンは桜特有の上品な香りを放ちますが、肝機能を弱めるおそれもあるそうです。桜餅の葉を食べる程度なら特に支障はありませんが、やはり食べすぎには注意が必要です。全国和菓子協会も「桜の葉は食べても差し支えない」ことを前提にしつつ、葉を取って食べることで、餅に移ったほのかな桜の残り香が楽しめると提唱しています。
気になる方は剥がして食べるも良し、葉の塩味をしっかり感じたい方は摂りすぎない程度に、お好みで春の味わいを楽しみしましょう!

【桜餅には関東風と関西風がある】

桜餅は関東と関西で違いがあります。関東風は「長命寺桜餅」、関西風は「道明寺桜餅」の別名で呼ばれ、素材や製法、見た目などがそれぞれ異なります。東西の桜餅の特色を比較してみました。

〈関東の長命寺桜餅〉
●起源・歴史
関東の桜餅は江戸中期の1717年(享保2年)、隅田川にほど近い向島の長命寺で門番をしていた山本新六が考案したと伝えられています。当時から隅田川のほとりは桜の名所で、土手には桜の葉が大量に落ちていたそうです。ある日、落ち葉を掃除していた新六はこの桜の葉を塩漬けにして、あん入りの餅を包むことを思いつきます。
こうして生まれた「桜餅」を長命寺の門前で売り出したところ、花見客の間で大評判に。桜餅は一躍、お寺の名物になりました。滝沢馬琴が編集した随筆「兎園小説(とえんしょうせつ)」によれば、1824年(文政7年)には年間38万7,000個も売れるほどの人気商品だったとか。新六が創業した長命寺桜餅の店は、現在もお寺の近くで桜餅を販売しています。

●素材・作り方
①小麦粉または白玉粉を水で溶き、食紅で淡い桜色をつけて生地を作ります。
②クレープのように丸く薄焼きにした生地をこしあんに巻きつけます。
③上からさらに桜の葉の塩漬けで包めば出来上がり。

※一般的な関東風桜餅は生地をピンクに着色しますが、「長命寺桜餅山本や」の桜餅は着色しないのが特徴です。

●味・食感
餅生地に小麦粉や白玉粉を使用するので、饅頭やどら焼きにも似た、ふっくらもちもちの柔らかい食感が楽しめます。

桜もちイメージ画像
農林水産省Webサイト「うちの郷土郷里 桜もち 東京都」より画像使用
(https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/search_menu/menu/34_22_tokyo.html)

〈関西の道明寺桜餅〉
●起源・歴史
大阪を中心とする関西の桜餅は、道明寺粉の餅生地でこしあんを包む「道明寺桜餅」が定番です。道明寺粉とは和菓子によく使われる粒状の食材で、1,000年以上前に大阪府藤井寺市の道明寺で尼僧が保存食として利用したのが始まりと言われています。道明寺粉を使った桜餅は後代になってから誕生したもので、1897年(明治30年)頃に京都の嵯峨で名物として売り出されたという記録が残っています。道明寺桜餅が全国的に広まった現在、一般的に桜餅と言えば、まず道明寺桜餅を思い浮かべる人が多いようです

※日本あんこ協会「桜餅(長命寺、道明寺)の都道府県別分布について(第1回全国桜餅一斉調査より)」を参照
https://anko.love/columns_anko/zensakucho2024/

●素材・作り方
①塩漬けにした桜の葉を水にひたして塩抜きします。
②道明寺粉・砂糖・水・食紅を合わせて蒸し上げ(煮ても可)、
さっくり混ぜて餅生地を作ります。
③餅をちぎって円形にのばし、こしあんを包みます。
上からさらに桜の葉で巻いたら完成です。

●味・食感
餅米を蒸して乾燥させた後、粗挽きにした道明寺粉を使用するので、ツブツブとした独特の食感が際立ちます。クレープ状の長命寺桜餅に対し、コロンと丸い饅頭のような見た目をしています。

道明寺イメージ画像

2.抹茶と煎茶の違いとは?意外と知らないお茶の話

桜餅と並んで、この時期よく見かけるのが「お茶」のスイーツ。すっきり爽やかな甘みと奥深い旨み、かすかな苦みの効いた大人の味わいは、古くから日本人に親しまれてきました。その複雑で豊かな風味は近年、海外でも注目を集めています。
日本で最も生産されているお茶は緑茶ですが、その中でも特になじみ深いのは「抹茶」と「煎茶」ではないでしょうか。しかし、それぞれの違いをいざ説明しようとすると、意外に難しいものです。ここからは知っているようで知らない、抹茶と煎茶の違いについて解説していきます。
「ほうじ茶・棒ほうじ茶・加賀棒ほうじ茶のお話」の記事でもお話ししましたが、実はすべてのお茶はツバキ科の植物「チャノキ」の葉を加工して作られます。このチャノキの茶葉に含まれる酸化酵素の働きを“活かすか(発酵)止めるか(不発酵)”で、お茶の種類はさまざまに分かれるのです。
抹茶も煎茶も、摘みとった茶葉を新鮮な状態で蒸して乾燥させる「不発酵茶」に分類されますが、その後の工程や育て方、淹れ方は大きく異なります。2つのお茶の特徴を見比べてみましょう。

抹茶イメージ画像

【抹茶】

●栽培・製造方法
太陽の光を当てずに被覆(ひふく)栽培した茶葉の中で、最も柔らかい「一芯二葉(新芽の先端と上から2枚目の葉)」」のみを使用。茶葉を蒸した後、揉まずに乾燥させ、石臼で挽いて細かい粉末状にした高級茶です。

※産地や農園によっては一芯三葉の場合もあります。

●味のポイント・淹れ方
味も成分も濃厚で、まろやかな甘みと独特のほろ苦さ、ふくよかな香りは格別。お湯に溶いて飲むため、茶葉の全成分をあますことなく摂取できます。

【煎茶】

●栽培・製造方法
太陽の光をたっぷり浴びて育った露地(ろじ)栽培の茶葉のうち、上から3〜5枚目の新芽を使用。収穫後すぐに蒸し上げ、細い針のような形に揉んで乾燥させる、日本で最も一般的なお茶です。

●味のポイント・淹れ方
抹茶に比べると、さっぱり軽やかな口あたりで、甘み・旨み・苦みのバランスを重視したものが多め。茶葉を急須に入れ、お湯を注ぐだけで気軽に味わえる点も魅力です。

〈抹茶と煎茶 茶葉の違い〉

3.いちご本来の旬が到来!フレッシュな美味しさを味わおう

以前、「いちごの旬と食べ頃はいつ?人気の品種や見分け方のコツ」という記事でも詳しくご紹介しましたが、最近のいちごは品種改良やハウス栽培技術の向上により、一年を通して店頭で見かけるようになりました。しかし、いちごは本来、春から初夏にかけて旬を迎えるフルーツです。とれたての美味しさを生食はもちろん、最新のトレンドスイーツで味わうのも楽しいですね。

ひとくちメモ

毎月22日は「ショートケーキの日」

カレンダーの日付で、22日の真上には必ず15(いちご)日が乗っているから…という語呂合わせが由来になっています。宮城県仙台市のケーキ屋さんが2007年(平成19年)に制定したのが始まりで、徐々に全国へと広まっていったそうです。

いちごのショートケーキイメージ画像

《出典元・参考文献》

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